新聞報道及びインターネットで、大阪都構想問題や住民投票問題での議論が伝えられています。
5月17日には、大阪維新の会堺市議会議員団が竹山市長宛てに「税金を使った政治活動の中止を求める抗議書」を提出。
同日、竹山市長は、自身のホームページに、「大阪維新の会堺市議会議員団に対する公開質問状」を掲載されています。
テーマは、大阪都構想の是非、住民投票問題、そして政治活動のあり方であろうかと思います。堺市の将来についての真摯な議論は、堺市民も注目しているところですが、近く開催される「堺市議会定例会」の場で十分に議論されれば、と思います。
特に、抗議書を受けて、自身のホームページに「市長名」で公開質問状を掲載された竹山市長には、「公務」と「政治活動」との区別において、相当混乱されているのではないかと考えられます。
いずれにしろ、議会において、十分な議論がなされることが必要と考えられます。(島 和英)
(参考資料)
以下に、双方のホームページから、「抗議書」及び「公開質問状」を引用させていただきます。
★税金を使った政治活動の中止を求める抗議書
平成25年5月17日
竹 山 修 身 市長殿
大阪維新の会 堺市議会議員団
税金を使った政治活動の中止を求める抗議書
任期満了に伴う市長選挙も9月となり、竹山市長も市長選挙への出馬を定例会の中でも表明されたのは記憶に新しいところです。選挙が近づく中で、公務と政務の境目が無くなってしまうのではないかと憂慮していましたが、4月号広報さかいに大阪都構想に関する記事が掲載され始めました。現在、大阪府大阪市では、府市再編する制度設計の法定協議会も立ち上がり、回を重ねるごとに大阪都構想の内容も具体化し始めています。市広報紙という媒体の性格上、公序良俗に反しないということは当然ながら公平性なども当然考慮されなくてはなりません。しかしながら、広報紙への掲載内容は大阪都構想の内容を客観的に伝えると言いながら、法定の「大阪府・大阪市特別区設置協議会」の議論には一切触れることなく、市長が政治的主張として発信されている偏った反大阪都構想の考え方をまとめた内容となっています。市の広報紙である以上、市長の思いこみによる偏った反大阪都構想の考えを市民に意識誘導する行為は、断固ゆるされません。掲載を続けるのならば、大阪府・大阪市特別区設置協議会の議論を正確に伝えるように求めます。
また、住民投票条例の提案を検討している旨の報道もされています。常設型の住民投票条例であれば、検討すべき案件ですが、今回検討している条例の内容は、「都市地域特別区設置法に基づき堺市を廃止し、特別区に分割・再編することの賛否を尋ねる 」という内容と聞き及んでいます。現状、堺市における意見が2分し、長としての判断がつかない状態に置かれているわけではなく、市長自身が政治的主張として述べられていることの賛否を問うようなものになろうとしています。言いかえれば、市長の主張がどれだけ市民の皆様に賛同を得られているのかというアンケート調査にすぎません。堺市が法定協議会で制度設計の議論をして、中身を詰め込んで住民の皆さんに判断頂ける状態で、最後に住民投票を行うのが常識的に考えられる順序であることは明確です。このような状態で住民投票を行うことは明らかに選挙を見据えた政治利用であり、公職選挙法上も脱法行為と言わざるを得ません。大阪都構想への議論参加の賛否は市長選挙で判断されるのに、約5,000万円ともいわれる税金を投入して住民投票を行うことは税の無駄遣いであり、政治的に利用しようとしていることは明確であります。
以上、広報紙で市民に偏った情報を周知させ、その上で大阪都構想の賛否を問う住民投票行う提案は、有機的一体として税金を使った政治活動とみなされ、提案自体を考え直すよう抗議いたします。
★竹山市長による公開質問状
「広報さかい」の記事に関し、堺・維新の会に質問する
2013年5月17日
「広報さかい」に大阪都構想に関する記事が掲載されたあと、堺・維新の会は堺市の担当者を呼んで口頭で抗議し、また、読売新聞紙上でも抗議のコメントが掲載されています。
そして本日、会派の代表者である西林議員、池田議員、米田議員から市の幹部に対し「広報さかい」の記事内容が『偏った反大阪都構想の考え方をまとめた内容』であるとする抗議書が手渡されました。そこで、この際、「広報さかい」の記事に関して、堺・維新の会に対する公開質問状を広く市民に明らかにし、明確な回答を求めることにより、「広報さかい」の記事の公正性・客観性を確認したいと考えます。
大阪維新の会 堺市議会議員団に対する公開質問状
私は大阪都構想に関する「広報さかい」の記事は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」の内容や「大阪府・大阪市特別区設置協議会」に提出された資料等に基づく客観的なものであり、大阪都構想に対する堺市民の理解を深めるものであると考えますが、貴団の見解はいかがでしょうか。回答をお願いします。
1.広報さかい4月号について
① 「堺市は廃止」される、あるいは「堺市はなくなる」という記述は、間違っているのか?
② 「堺市は複数の特別区に分割されます」という記述は、間違っているのか?
③ 「堺市が持っている政令指定都市特有の財源や権限が、大阪府に移管される」という記述は、間違っているのか?
④ 大阪維新の会・橋下代表の「堺市は40万程度に、2つに分かれて頂く」という大阪市会での答弁に対する公式見解を明らかにされたい。
2.広報さかい5月号について
① 堺市の税収の一部が府の財源になることは、事実ではないのか?
② 堺市から府に移管される財源は、すべて堺市域の特別区の事業に充当されることが、あらかじめ決まっているのか?
③ 府に移管される財源の使途は、府議会で議論・決定されるのではないか?
④ そうであるならば、当該財源に対する堺市民の関与度は全府議会議員に占める堺市選出数、つまり10/109(議員数に基づく)になるのではないか?
3.その他
① 貴団は、読売新聞紙上で広報さかいの連載に対し、「市民の不安を煽っている」と抗議しているが、具体的にどの内容が「不安を煽っている」のか?
② もし、市民が不安を覚えるとすれば、大阪都構想そのものに対してではないか?
③ また、「住民サービスが低下するような誤ったイメージを与える」と抗議しているが、具体的にどの内容のことか?
④ 例えば、中学3年生までの子ども医療費助成は堺市独自の事業で、政令市財源を活用しなければ実施できないもの。大阪市ではここまで手厚いサービスはおこなっておらず、所得制限を設けている。堺市に特別区が設置されれば、特別区間のバランスを考えた場合、おそらく市民サービスの低下は避けられないが、このような点についてどう考えるか?
⑤ さらに、「連載では都構想のメリットが一切触れられておらず」とコメントしているが、大阪都構想のメリットとは具体的に何かを明らかにされたい。
以上の点について明確に回答して頂きたい。
平成25年5月17日
堺市長 竹山修身
大阪維新の会 堺市議会議員団
代表者 西林克敏 殿